(2010年度版)社労士初級インプット講座/労働基準法2-13

社労士試験合格を目指す方に無料でテキストを公開します!「労働基準法2-13:前借金相殺の禁止」

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労働基準法(2)-13

山川靖樹の社労士(社会保険労務士試験対策)講義風景

---- 山川予備校事務局 よりお知らせ ----

テキスト内容は、2010年度社労士試験対策の社労士初級インプット講座(2010年度版)のテキストになります。2012年度版(新年度版)テキストは、「山川靖樹の社労士予備校」HPトップにて紹介しておりますので、ご確認ください。

テキスト本文の開始

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2  前借金相殺の禁止 (法17条)              重要度 ●

 

条文/社労士テキスト5

 

使用者は、前借金*1その他労働することを条件とする前貸の賃権と賃金を相殺してはならない*2。(平9択)(平11記)

 

ここをチェック/社労士テキスト7

 

□*1 「前借金」とは、労働契約の締結の際またはその後に、労働する(つまり、将来の賃金により弁済する)ことを条件として使用者から借り入れた金銭のことである。


↓ したがって…


労働者が使用者から人的信用に基づいて受ける金融又は賃金の前払いのような単なる弁済期の繰上げ等で明らかに身分的拘束を伴わないと認められるものは、労働することを条件とする債権ではない(昭33.2.13基発90号)。


↓ 例えば…


□使用者が、労働組合との労働協約の締結あるいは労働者からの申出に基づき、生活必需品の購入等のための生活資金を貸し付け、その後この貸付金を賃金より分割控除する場合において、貸付の原因、期間、金額、金利の有無等を総合的に判断して労働することが条件となっていないことが極めて明白な場合には、本条の規定は適用されない(昭63.3.14基発150号)。(平14択)


□*2 「相殺してはならない」とは、前借金の貸付を禁じたものではなく、賃金と前借金を相殺することを禁止している。


↓ なお…


前借金制度によって労働を強制すれば、法5条に違反する。

 

ちょっとアドバイス/社労士テキスト1

 

□本条における相殺禁止の規定は、相殺のうち、使用者の側で行う場合のみを禁止しているのであって、労働者が“自己の意思”による申し出によって前借金等と賃金を相殺することは禁止されていない。(平3択)