(2010年度版)社労士初級インプット講座/厚生年金保険法4-9

社労士試験合格を目指す方に無料でテキストを公開します!「厚生年金保険法4-9 :障害厚生年金と障害基礎年金との相違点」

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厚生年金保険法(4)-9

山川靖樹の社労士(社会保険労務士試験対策)講義風景

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テキスト内容は、2010年度社労士試験対策の社労士初級インプット講座(2010年度版)のテキストになります。2012年度版(新年度版)テキストは、「山川靖樹の社労士予備校」HPトップにて紹介しておりますので、ご確認ください。

テキスト本文の開始

 

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第4節 障害厚生年金

 

1 障害厚生年金と障害基礎年金との比較 重要度 ● 

 

outline

 

◆障害厚生年金と障害基礎年金との相違点

 

障害基礎年金

障害厚生年金

 

【支給要件】
a) 初診日

 

 

国民年金の被保険者or 60歳以上65歳未満の国内在住者

 

 

 

厚生年金保険の被保険者

 

b) 障害等級区分

 

 

1級・2級

 

1級・2級・3級

 

【事後重症】

 

 

 

不該当 →1級・2級

 

不該当 →1級・2級・3級

 

【年金額】
a) 計算方法

 

 

定額制(障害等級による)

 

報酬比例制(原則額は老齢厚生年金の計算式と同じ)

 

 

b) 加算対象者

 

 

 

配偶者(3級には加算なし)

 

c) 最低保障額規定

 

 

規定なし(年額約80万円)

 

規定あり

 

【併合認定の例外】

 

 

調整なし

 

昭和36年4月1日前に発生した「障害年金」との調整あり

 

 

【額の改定請求】
a) 65歳以上の者

 

 

制限なし

 

等級による制限あり

 

b) 併合改定

 

 

 

障害基礎年金との併合規定

 

【支給停止】

 

 

 

障害共済年金との調整規定

 

【一時金制度】

 

 

規定なし

 

障害手当金

 

【特例措置】

 

 

平成6年国年法附則6条

 

規定なし

 

 

【共通事項】

 

a) 保険料納付要件(原則と特例)

 

b) 障害等級区分における傷病の種類

 

c) 基準障害による年金 d) 併合認定の原則

 

e) その他障害が生じたとき f) 受給権の消滅

 

g) 経過措置(平成6年国年法附則4条・厚年法附則14条)

 

 

*「平成6年国年法附則6条」とは、旧法当時の保険料納付要件に該当しなかった者の救済規定。

 

*「平成6年国年法附則4条・厚年法附則14条」とは、平成6年11月9日前の失権要件と当該改正後の規定との整合性を図るための救済規定。

 

 

 

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2 障害厚生年金の受給権者 (法47条) 重要度 ●● 

 

条文

 

1) 障害厚生年金は、疾病にかかり、又は負傷し、その疾病又は負傷及びこれらに起因する疾病(以下「傷病」という)につき初診日*1において「被保険者であった者」が、障害認定日*2において、その傷病により次項に規定する障害等級に該当する程度の障害の状態にある場合に、その障害の程度に応じて、その者に支給する。
(平4択)(平7択)(平13択)(平14択)

 

ちょっとアドバイス

 

□*1 「初診日」とは、初めて医師又は歯科医師の診療を受けた日をいう。

 

□*2 「障害認定日」とは、当該初診日から起算して“1年6月を経過した日”(その期間内にその傷病が治った日(その症状が固定し治療の効果が期待できない状態に至った日を含む)があるときは、“その日”をいう。
(平5択)(平8択)(平11択)

 

↓ なお…

 

□“障害認定日”が昭和61年4月1日以後にあるときは、「昭和61年4月1日前」の被保険者期間中に発傷病日がある場合であっても、障害厚生年金が支給される。
(平9択)

 

□障害の発生要因については、業務上外を問わない。(平7択)

 

 

条文

 

ただし、当該傷病に係る初診日の前日において、当該初診日の属する月の前々月までに国民年金の被保険者期間があり、かつ、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の3分の2に満たないときは、支給しない。(平5択)(平13択)

 

2) 障害等級は、障害の程度に応じて重度のものから1級、2級及び3級*3とし、各級の障害の状態は、政令で定める。

 

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ここをチェック

 

◆保険料納付要件の原則

 

 

◆障害厚生年金の支給要件の特例 (昭60法附則64条1項)
(平4択)(平9択)(平20択)(平21択)

 


□初診日が「平成28年4月1日前」にある傷病による障害について、当該被保険者期間に係る保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が当該被保険者期間の3分の2に満たないときであっても、当該初診日の前日において当該「初診日の属する月の前々月までの1年間」のうちに“保険料納付済期間及び保険料免除期間以外の国民年金の被保険者期間がないとき”は、支給する。

 

↓ ただし…

 

□当該障害に係る者が当該初診日において「65歳以上」であるときは、支給しない。

 

 

advance

 

□初診日が「平成3年5月1日前」にある傷病による障害についての保険料納付状況は、当該初診日の属する月前における直近の基準月(1月、4月、7月及び10月をいう)の前月において確認される(昭60法附則65条)。

 

□*3 「障害等級の決定に係る障害の状態」とは、原則として、次のとおりである(令別表第1ほか)。

 


【1級】身体の機能障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活の用を弁ずること不能ならしめる程度のもの(他人の介助が必要不可欠な状態)。

 

【2級】身体の機能障害又は長期にわたる安静を必要とする病状が、日常生活が著しい制限を受けるか又は日常生活に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの(他人の介助は不要であっても、日常生活は極めて困難で、労働による収入を得ることはできない状態)。

 

【3級】a)傷病が治癒した者:労働が著しい制限を受けるか又は労働に著しい制限を加えることを必要とする程度のもの。b)傷病が治癒しない者:労働が制限を受けるか又は労働に制限を加えることを必要とする程度のもの。(平20択)

 

 

 

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3 事後重症による障害厚生年金 (法47条の2) 重要度 ● 

 

条文

 

1) 疾病にかかり、又は負傷し、かつ、その傷病に係る初診日において被保険者であった者であって、障害認定日において障害等級(1級、2級又は3級)に該当する程度の障害の状態になかったものが、同日後65歳に達する日の前日までの間において、その傷病により障害等級に該当する程度の障害の状態に該当するに至ったときは、その者は、その期間内に同条第1項の障害厚生年金の支給を請求することができる。(平4択)(平7択)(平13択)(平20択)

 

2) 第47条第1項ただし書(保険料納付要件)の規定は、前項の場合に準用する。

 

3) 第1項の請求があったときは、その請求をした者に障害厚生年金を支給する*1。

 

ちょっとアドバイス

 

□*1 「請求をした者に障害厚生年金を支給する」とは、請求することによって、初めてその受給権が認められるということである。(平8択)

 

□「支給繰上げの老齢基礎年金」又は「支給繰上げの老齢厚生年金」の受給権者は、事後重症による障害厚生年金の支給を請求することができない(法附則16条の3第1項)。(平10択)

 

□事後重症による障害厚生年金は、同一の傷病による障害について旧厚生年金保険法による障害年金又は旧国民年金法による障害年金の受給権を有していたことがある者については、支給しない(昭60法附則66条)。

 

 

4 基準障害による障害厚生年金 (法47条の3) 重要度 ● 

 

条文

 

1) 疾病にかかり、又は負傷し、かつ、その傷病(以下「基準傷病」という)に係る初診日において被保険者であった者であって、基準傷病以外の傷病により障害の状態にあるものが、基準傷病に係る障害認定日以後65歳に達する日の前日までの間において、初めて、基準傷病による障害(以下「基準障害」という)と他の障害とを併合して障害等級の「1級又は2級」に該当する程度の障害の状態に該当するに至ったとき(基準傷病の初診日が、基準傷病以外の傷病(基準傷病以外の傷病が2以上ある場合は、基準傷病以外のすべての傷病)に係る初診日以降であるときに限る)は、その者に基準障害と他の障害とを併合した障害の程度による障害厚生年金を支給する。(平4択)(平13択)

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2) 第47条第1項ただし書(保険料納付要件)の規定は、前項の「基準傷病」について準用する。

 

3) 第1項の障害厚生年金の支給は、当該障害厚生年金の請求があった月の翌月から始めるものとする。

 

ここをチェック

 

□「基準障害と他の障害とを併合した障害の程度」の判断は、「基準傷病の初診日」が、基準傷病以外の傷病(基準傷病以外の傷病が2以上ある場合は、基準傷病以外のすべての傷病)の初診日以降であるときに限り認められる。

 

□「支給繰上げの老齢基礎年金」又は「支給繰上げの老齢厚生年金」の受給権者には、基準障害による障害厚生年金は支給しない(法附則16条の3第1項)。(平16択)