(2010年度版)社労士初級インプット講座/厚生年金保険法1-1

社労士試験合格を目指す方に無料でテキストを公開します!「厚生年金保険法2-7:その他の届出[改正]」

前のページへ | 次のページへ  | 目次へ 

厚生年金保険法(2)-7

山川靖樹の社労士(社会保険労務士試験対策)講義風景

---- 山川予備校事務局 よりお知らせ ----

テキスト内容は、2010年度社労士試験対策の社労士初級インプット講座(2010年度版)のテキストになります。2012年度版(新年度版)テキストは、「山川靖樹の社労士予備校」HPトップにて紹介しておりますので、ご確認ください。

テキスト本文の開始

 

 

3  その他の届出等 (法98条)                        重要度 ●●●

 

条文

 

改正

 

1) 事業主は、厚生労働省令の定めるところにより、第27条に規定する事項を除くほか、厚生労働省令の定める事項を厚生労働大臣に届け出なければならない。

 

2) 被保険者は、厚生労働省令の定めるところにより、厚生労働省令の定める事項を厚生労働大臣に届け出*1、又は事業主に申し出*2なければならない。

 

3) 受給権者は、厚生労働省令の定めるところにより、厚生労働大臣に対し、

厚生労働省令の定める事項を届け出*3、かつ、厚生労働省令の定める書類その他の物件を提出しなければならない。(平3択)(平7択)(平8択)(平10択)

 

4) 受給権者が死亡したときは、戸籍法の規定による死亡の届出義務者は、10日以内に、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。
(平8択)(平10択)(平19択)

 

-----------------(43ページ目ここから)------------------

 

ここをチェック

 

◆*1 被保険者が行う届出のまとめ

 

届出の内容

届出の提出期限

 

a) 2以上の事業所勤務の届出(則2条)

 

同時に使用された日から10日以内

 

b) 適用事業所に使用される高齢任意加入被保険者の氏名変更の届出(則5条の4)

 

10日以内

 

c) 適用事業所に使用される高齢任意加入被保険者の住所変更の届出(則5条の5)

 

10日以内(平3択)

 

d) 第4種被保険者が共済組合の組合員又は私学教職員共済制度の加入者となったことによる資格喪失の届出(則8条の2)

 

10日以内(平12択)

 

e) 第4種被保険者の氏名変更の届出(則9条)

 

10日以内

 

f) 第4種被保険者の住所変更の届出(則9条の2)

 

10日以内(平5択)

 

◆*2 被保険者*4が行う事業主への申出のまとめ

 

どんなとき?

申出の内容

 

a) 被保険者の氏名変更の申出
(則6条) (平5択)(平21択)

 

 

速やかに、変更後の氏名を事業主に申し出るとともに、年金手帳を事業主に提出しなければならない*5。

 

 

b) 被保険者の住所変更の申出
(則6条の2)

 

 

速やかに、変更後の住所を事業主に申し出なければならない。

 

 

ちょっとアドバイス

 

□*4 この場合の「被保険者」からは、適用事業所に使用される高齢任意加入被保険者及び第4種被保険者等を除くこととされる。

 

□*5 事業主は、年金手帳に変更後の氏名を記載したときは、速やかに、これを被保険者に返付しなければならない(則21条3項・6項)。

 

◆*3 受給権者が行う届出のまとめ

 

届出の内容

届出の提出期限

 

a) 胎児出生の届出(則31条)
(平2択)(平3択)(平8択)(平12択)

 

 

10日以内

 

b) 加給年金額対象者の不該当の届出*6 (則32条、則46条) (平1択)(平7択)(平8択)

 

 

10日以内

 

c) 氏名変更の届出(則37条ほか)

 

 

10日以内

 

d) 住所変更の届出(則38条ほか)
(平1択)(平8択)(平20択)

 

 

10日以内

 

e) 加給年金額加算事由該当の届出(則31条の2)

 

 

速やかに

 

f) 支給停止事由該当又は支給停止事由消滅の届出(則33条、則34条ほか)

 

 

速やかに

 

-----------------(44ページ目ここから)------------------

 

 

g) 本人確認情報の提供を受けることができない場合の年金の受給権者に係る届出(則35条の2ほか)

 

 

毎年、「指定日まで」*7に
(平20択)

 

h) 加給年金額の対象者がある老齢厚生年金又は障害厚生年金の受給権者等の届出*8
(則35条の3ほか)(平20択)

 

 

毎年、「指定日まで」*7に、加給年金額の対象者に係る生計を維持している旨を記載して

 

i) 年金の受給権者に係る障害の現状に関する届出(則35条の4ほか)
(平1択)(平7択)(平21択)

 

 

厚生労働大臣が指定した者は、当該指定した年において、「指定日まで」*7に、指定日前1月以内に作成されたその障害の現状に関する医師又は歯科医師の診断書を

 

j) 払渡希望金融機関の変更の届出(則39条ほか)
(平10択)

 

 

変更しようとするとき

 

k) 業務上障害補償の該当の届出(則49条1項)
(平11択)

 

 

労働基準法77条の規定による障害補償を受ける権利を取得したとき、10日以内

 

 

ここをチェック

 

□*6 「b)加給年金額対象者の不該当の届出」については、その事由が年齢到達によるときは、届出を必要としない。(平10択)(平14択)(平20択)(平21択)

 

□*7 「厚生労働大臣が指定する日(指定日)」は、受給権者の誕生日の属する月の末日である(平18.9.29社庁告34号)。

 

↓ なお…

 

□g)~i)の3種類の届出について、年金たる保険給付の額の“全部”につき支給が停止されているときは、届出を必要としない。(平1択)(平16択)(平17択)

 

□*8 h)について、次のいずれかに掲げる日以後「1年以内」に指定日が到来する年には、届出の必要はない。(平1択)(平17択)(平20択)

 


イ) 年金たる保険給付の裁定が行われた日

 

ロ) 法52条1項(障害の程度が変わった場合の障害厚生年金の額の改定)の規定により障害厚生年金の額の改定が行われた日

 

ハ) その全額につき支給が停止されていた年金たる保険給付の支給の停止が解除された日

 

 

-----------------(45ページ目ここから)------------------

 

4 年金手帳の交付等 (則81条など)          重要度 ● 

 

◆年金手帳の交付等 (則81条)

 


□初めて被保険者の資格を取得した者(既に年金手帳の交付を受けた者を除く)については、年金手帳を作成して被保険者に交付しなければならない(1項)。

 

□年金手帳を交付しようとするときは、当該被保険者を使用する事業主を通じて交付することができる(2項)。

 

 

◆年金手帳の交付 (則17条)

 


□事業主は、則81条2項の規定によって年金手帳の送付を受けたときは、速やかに、これを被保険者に交付しなければならない。(平2択)

 

 

◆年金手帳の再交付の申請 (則11条)

 


□被保険者又は被保険者であった者(旧船員保険法による被保険者であった者を含む)は、年金手帳を滅失し、又はき損したときは、年金手帳の再交付を申請することができる(1項)。(平2択)(平5択)

 

□年金手帳をき損したことにより再交付の申請書を提出するときは、これにその年金手帳を添えなければならない(3項)。

 

 

◆年金手帳の提出等 (則3条)

 


□かつて被保険者(旧船員保険法による被保険者を含む)であったことがある者は、当然被保険者の資格を取得したとき(70歳以上の使用される者にあっては、第10条の4の要件(70歳以上の使用される者の要件)に該当するに至ったとき)は、直ちに、年金手帳を事業主に提出しなければならない(1項)。(平2択)(平15択)

 

□初めて当然被保険者の資格を取得した者は、年金手帳を所持しているときは、直ちに、その年金手帳を事業主に提出しなければならない。この場合において、年金手帳に記載されている氏名に変更があるときは、変更前の氏名を事業主に申し出なければならない(2項)。

 

 

◆年金手帳の返付等 (則16条)

 


□事業主は、則3条の規定によって年金手帳の提出を受けたときは、当該年金手帳を確認した後、これを被保険者又は70歳以上の使用される者に返付しなければならない。この場合において、氏名変更の申出があった者については、その者の年金手帳に変更後の氏名を記載しなければならない。

 

 

-----------------(46ページ目ここから)------------------

第2節 記録等

1  記録 (法28条)                                  重要度 ●   

 

条文

 

改正


厚生労働大臣は、被保険者に関する原簿を備え、これに被保険者の氏名、資格の取得及び喪失の年月日、標準報酬(標準報酬月額及び標準賞与額をいう)、「基礎年金番号」その他厚生労働省令で定める事項を記録しなければならない。
(平2択)(平17択)

 

advance

 

□政府は、年金個人情報(厚生年金保険法28条に規定する原簿又は国民年金法14条に規定する国民年金原簿に記録された個人情報その他政府が管掌する厚生年金保険事業又は国民年金事業の運営に当たって厚生労働省及び日本年金機構が保有する個人情報をいう)について、厚生年金保険又は国民年金の被保険者、受給権者その他の関係者の協力を得つつ、正確な内容とするよう万全の措置を講ずるものとする(年金時効特例法4条)。

 

2  通知 (法29条)                                  重要度 ●   

 

条文

 

1) 厚生労働大臣は、任意適用取消の認可、任意単独被保険者の資格の取得若しくはその喪失の認可、被保険者の資格の取得及び喪失の確認又は標準報酬の決定若しくは改定(合意分割及び3号分割の規定による標準報酬の改定又は決定を除く)を行ったときは、その旨を当該事業主に通知しなければならない。

 

2) 事業主は、前項の通知があったときは、すみやかに、これを被保険者又は被保険者であった者に通知しなければならない。

 

3) 被保険者が被保険者の資格を喪失した場合において、その者の所在が明ら

かでないため前項の通知をすることができないときは、事業主は、厚生労働大臣にその旨を届け出なければならない。

 

4) 厚生労働大臣は、前項の届出があったときは、所在が明らかでない者について事業主に通知した事項を公告しなければならない。

-----------------(47ページ目ここから)------------------

 

5) 厚生労働大臣は、事業所が廃止された場合その他やむを得ない事情のため通知をすることができない場合においては、通知に代えて、その通知すべき事項を公告しなければならない。

 

advance

 

□厚生労働大臣は、法27条の規定による届出があった場合において、その届出に係る事実がないと認めるときは、その旨をその届出をした事業主に通知しなければならない(法30条)。

 

□適用事業所以外の事業所に使用される高齢任意加入被保険者についても、法27条、法29条、法30条の規定を準用する(法附則4条の5第1項)。

 

-----------------(48ページ目ここから)------------------

 

 

3  被保険者に対する情報の提供 (法31条の2)         重要度 ●   

 

条文

 

厚生労働大臣は、厚生年金保険制度に対する国民の理解を増進させ、及びその信頼を向上させるため、厚生労働省令で定めるところにより、被保険者に対し、当該被保険者の保険料納付の実績及び将来の給付に関する必要な情報*1を分かりやすい形で通知するものとする。

 

advance

 

□*1 「保険料納付の実績及び将来の給付に関する必要な情報の通知」(いわゆる「ねんきん定期便」)は、次のとおりである(則12条の2)。

 


□厚生労働大臣の通知は、次に掲げる事項を記載した書面によって行うものとする。

 

イ) 被保険者期間の月数。

 

ロ) 最近1年間の被保険者期間における標準報酬月額及び標準賞与額。

 

ハ) 被保険者期間における標準報酬月額及び標準賞与額に応じた保険料(被保険者の負担するものに限る)の総額。

 

ニ) 次に掲げる被保険者期間の区分に応じ、それぞれ次に定める事項。

 

a) 第1号被保険者としての被保険者期間
被保険者期間の月数、最近1年間の被保険者期間における保険料の納付状況及び被保険者期間における保険料の納付状況に応じた保険料の総額

 

b) 第3号被保険者としての被保険者期間
被保険者期間の月数

 

ホ) 老齢基礎年金及び老齢厚生年金の額の見込額。

 

ヘ) その他必要な事項。

 

 

□前項の規定にかかわらず、通知が行われる被保険者が35歳、45歳及び58歳に達する日の属する年度における通知は、当該被保険者に係るイからホに掲げる事項( ロに掲げる事項及び最近1年間の第1号被保険者としての被保険者期間における保険料の納付状況を除く)のほか、次に掲げる事項を記載した書面によって行うものとする。

 

a) 被保険者の資格の取得及び喪失並びに種別の変更の履歴(共済組合の組合員又は私学教職員共済制度の加入者としての期間を除く)

 

b) すべての第1号被保険者としての被保険者期間における保険料の納付状況並びに被保険者期間における標準報酬月額及び標準賞与額

 

 

 

 

 

-----------------(49ページ目ここから)------------------

第 5 章

保険給付

第1節 通則    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・  50
第2節 老齢厚生年金 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・・・・・・・・ 61
第3節 60歳台前半の老齢厚生年金 ・・・・・・・ ・ ・ ・ ・ ・・ ・・ 78
第4節 障害厚生年金    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  97
第5節 障害手当金    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 113
第6節 遺族厚生年金    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 115
第7節 その他の保険給付    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 136
第8節 年金額の改定等    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 140
第9節 保険給付の制限    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 150
第10節 離婚等をした場合における特例    ・・・・・・・・ ・・・・ 153
第11節 被扶養配偶者である期間についての特例    ・ ・・・ 162

 

 

-----------------(50ページ目ここから)------------------

第1節  通則

1  保険給付の種類 (法32条)                        重要度 ●   

 

条文

 

この法律による保険給付は、次のとおりとする。(平16択)


イ) 老齢厚生年金*1

 

ロ) 障害厚生年金及び障害手当金

 

ハ) 遺族厚生年金

 

ちょっとアドバイス

 

□*1 「老齢厚生年金」には、保険事故は“老齢”で共通するが、“60歳台前半”を支給事由とする「60歳台前半の老齢厚生年金」と、“65歳以後”を支給事由とする「老齢厚生年金」の2種類がある。

 

□法附則上の保険給付としては、脱退手当金、脱退一時金、特例老齢年金、特例遺族年金がある(特例障害年金はない)。(平19択)