社労士試験合格を目指す方に無料でテキストを公開します!「厚生年金保険法7-14:基金間の権利義務の移転等」
---- 山川予備校事務局 よりお知らせ ----
テキスト内容は、2010年度社労士試験対策の社労士初級インプット講座(2010年度版)のテキストになります。2012年度版(新年度版)テキストは、「山川靖樹の社労士予備校」HPトップにて紹介しておりますので、ご確認ください。
テキスト本文の開始
2 基金間の権利義務の移転等 (法144条の2、法144条の3)
重要度 ●
◆権利義務の「移転」と積立金の「移換」
イ) ここにいう「移転」とは、A基金の加入期間をB基金の加入期間と通算し、“A基金において生ずる加入者の権利義務をB基金に移すこと”である。
ロ) ここにいう「移換」とは、事業主がA基金に対して積み立てた掛金(「年金給付等積立金」という)をB基金に移し換え、移転によって生ずることとなるB基金の責任は“金銭的にも引き継がれること”となる。(この一連の性質は、「ポータビリティ性」と表現される)
-----------------(222ページ目ここから)------------------
↓ 一般的には…
□“確定給付型企業年金”においては、各制度間における支給水準が異なる等の理由から、ポータビリティ性には消極的であった。例えば、原則として、転職等によってA基金加入事業所からB基金加入事業所へ転職しても、別基金の期間通算は認められなかった(もちろん、同一基金内であれば、勤務事業所が異なっても通算することはできる)。
↓ この仕組みは、平成18年に緩和された!
□AB基金間において、“通算することについての規約”があれば、中途脱退者に関するポータビリティを認めることとした。なお、転職先に「基金がない」とき、又は基金はあっても「通算の定めがない」ときの中途脱退者の権利義務は、企業年金連合会が承継する(引き継ぐ)こととなる。
◆基金間の権利義務の移転 (法144条の2)
【基金間の移転】とは、A基金の構成事業所が脱退して、B基金に新規加入すること。
□甲基金が前項の規定により権利義務の移転を申し出るには、甲基金の代議員会において代議員の定数の「4分の3」以上の多数により議決した上で、厚生労働大臣の認可を受けなければならない(2項)。
□乙基金は、第1項の規定により権利義務の移転の申出があったときは、当該年金たる給付及び一時金たる給付の支給に関する権利義務を承継することができる(3項)。
□乙基金は、権利義務を承継しようとするときは、その代議員会において代議員の定数の「4分の3」以上の多数により議決し、厚生労働大臣の認可を受けなければならない(4項)。
□乙基金が権利義務を承継したときは、乙基金に老齢年金給付の支給に関する義務が承継された者の甲基金の加入員であった期間は、乙基金の加入員であった期間とみなす(5項)。
|
-----------------(223ページ目ここから)------------------
◆他の基金への権利義務の移転 (法144条の3)
【他の基金への移転】とは、A基金の中途脱退者が、B基金に新規加入すること。
*「中途脱退者」とは、当該基金の加入員の資格を喪失した者(当該加入員の資格を喪失した日において当該基金が支給する老齢年金給付の受給権を有する者を除く)であって、その者の当該基金の加入員であった期間が政令で定める期間(20年)に満たないものをいう(基金令41条の3の3第2項)。
□甲基金は、前項の規定により権利義務の移転の申出があったときは、乙基金に当該老齢年金給付の支給に関する権利義務の移転を申し出るものとする(2項)。
□乙基金は、前項の規定により権利義務の移転の申出があったときは、当該老齢年金給付の支給に関する権利義務を承継するものとする(3項)。
□前項の規定により乙基金が当該老齢年金給付の支給に関する権利義務を承継する場合においては、甲基金から乙基金に年金給付等積立金(当該老齢年金給付に充てるべき積立金に限る)を移換するものとする(4項)。
|
◆他の基金への脱退一時金相当額の移換 (法144条の3)
□甲基金は、前項の規定により脱退一時金相当額の移換の申出があったときは、乙基金に当該申出に係る脱退一時金相当額を移換するものとする(6項)。
□乙基金は、前項の規定により脱退一時金相当額の移換を受けたときは、当該移換金を原資として、規約で定めるところにより、当該中途脱退者に対し、老齢年金給付等の支給を行うものとする(7項)。
|
□甲基金は、第6項の規定により脱退一時金相当額を移換したときは、当該中途脱退者に係る脱退一時金の支給に関する義務を免れる(8項)。
□乙基金は、第3項の規定により当該老齢年金給付の支給に関する権利義務を承継したとき、又は第7項の規定により老齢年金給付等の支給を行うこととなったときは、その旨を当該中途脱退者に通知しなければならない(9項)。
-----------------(224ページ目ここから)------------------
1 確定拠出年金を実施する場合における手続 (法144条の5)
重要度 ●
1) 基金は、規約で定めるところにより、「年金給付等積立金」の一部を、設立事業所の事業主が実施する企業型年金(確定拠出年金法に規定する企業型年金をいう)における当該設立事業所に使用される加入員の個人別管理資産に充てる場合には、政令で定めるところにより、当該年金給付等積立金の一部を当該企業型年金の資産管理機関に移換することができる。(平18択)(平15選)
2) 前項の規約を定める場合には、当該企業型年金を実施する設立事業所の「事業主の全部」及び加入員のうち当該年金給付等積立金の移換に係る加入員(以下「移換加入員」という)となるべき者の「2分の1」以上の同意並びに加入員のうち移換加入員となるべき者以外の者の「2分の1」以上の同意を得なければならない(2項)。
(平18択)
3) 前項の場合において、当該企業型年金が実施される設立事業所が2以上であるときは、同項の移換加入員となるべき者の同意は、各設立事業所について得なければならない。
4) 解散した基金は、規約で定めるところにより、残余財産の全部又は一部を、当該解散した基金に係る適用事業所の事業主が実施する企業型年金における当該適用事業所に使用される被保険者の個人別管理資産に充てる場合には、政令で定めるところにより、当該残余財産の全部又は一部を当該企業型年金の資産管理機関に移換することができる。
◆基金から確定拠出年金への脱退一時金相当額の移換 (法144条の6)
□当該基金は、前項の規定により脱退一時金相当額の移換の申出があったときは、当該企業型年金の資産管理機関又は国民年金基金連合会に当該申出に係る脱退一時金相当額を移換するものとする(2項)。
-----------------(225ページ目ここから)------------------
□当該基金は、前項の規定により脱退一時金相当額を移換したときは、当該中途脱退者に係る脱退一時金の支給に関する義務を免れる(3項)。
□当該企業型年金の企業型記録関連運営管理機関等(確定拠出年金法に規定する企業型記録関連運営管理機関等をいう)又は国民年金基金連合会は、第2項の規定により脱退一時金相当額が当該企業型年金の資産管理機関又は国民年金基金連合会に移換されたときは、その旨を当該中途脱退者に通知しなければならない(4項)。
|
-----------------(226ページ目ここから)------------------
1 解散 (法145条) 重要度 ●●
◆解散 (法145条)
1) 基金は、次に掲げる理由により解散する。(平4択)(平20択)
イ) 代議員の定数の4分の3以上の多数による代議員会の議決(平11択)
ロ) 基金の事業の継続の不能
ハ) 厚生労働大臣による解散の命令
2) 基金は、イ又はロに掲げる理由により解散しようとするときは、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。(平13択)
◆基金の解散による年金たる給付等の支給に関する義務等の消滅 (法146条)
|
2 清算 (法146条の2ほか) 重要度 ●
◆清算中の基金の能力 (法146条の2)
|
-----------------(227ページ目ここから)------------------
◆清算人等 (法147条)
□次に掲げる場合には、厚生労働大臣が清算人を選任する(2項)。
a) 前項の規定により清算人となる者がないとき。
b) 基金が第145条第1項ハの規定により解散したとき。
c) 清算人が欠けたため損害を生ずるおそれがあるとき。
□前項の場合において、清算人の職務の執行に要する費用は、基金が負担する(3項)。
□解散した基金の残余財産は、規約の定めるところにより、その解散した日において当該基金が年金たる給付の支給に関する義務を負っていた者に分配しなければならない(4項)。
□前項の規定により残余財産を分配する場合においては、同項に規定する者に、その全額を支払うものとし、当該残余財産を事業主に引き渡してはならない(5項)。
|
◆清算人の職務及び権限 (法147条の2)
□清算人は、a)~c)の職務を行うために必要な一切の行為をすることができる(2項)。
|
◆債権の申出の催告等 (法147条の3)
□前項の公告には、債権者がその期間内に申出をしないときは清算から除斥されるべき旨を付記しなければならない。ただし、清算人は、知れている債権者を除斥することができない(2項)。
|
◆清算に係る報告の徴収等 (法148条1項)
|
-----------------(228ページ目ここから)------------------
1 連合会の設立等 (法149条ほか) 重要度 ●
◆連合会の設立 (法149条)
□連合会は、全国を通じて1個とする(2項)。
|
◆法人格及び名称 (法150条、法151条)
□連合会は、その名称中に企業年金連合会という文字を用いなければならない。
□連合会でない者は、企業年金連合会という名称を用いてはならない。
|
◆設立の認可等 (法152条)
□認可の申請は、5以上の基金が共同して規約をつくり、基金の「3分の2」以上の同意を得て行なうものとする(2項)。(平13択)
□連合会は、設立の認可を受けた時に成立する(3項)。
□厚生労働大臣は、基金の行なう事業の健全な発展を図るために必要があると認めるときは、基金に対し、連合会に加入することを命ずることができる(4項)。(平13択)
|
2 評議員会及び役員 (法155条ほか) 重要度 ●
◆評議員会 (法155条)
□評議員会は、評議員をもって組織する(2項)。
-----------------(229ページ目ここから)------------------
□評議員は、会員の代表者において互選する(3項)。
□評議員の任期は、「2年」とする。ただし、補欠の評議員の任期は、前任者の残任期間とする(4項)。
□評議員会は、理事長が招集する。評議員の定数の3分の1以上の者が会議に付議すべき事項及び招集の理由を記載した書面を理事長に提出して評議員会の招集を請求したときは、理事長は、その請求のあった日から20日以内に評議員会を招集しなければならない(5項)。
□評議員会に議長を置く。議長は、理事長をもって充てる(6項)。
|
◆評議員会の議決 (法156条)
□理事長は、評議員会が成立しないとき、又は理事長において評議員会を招集する暇がないと認めるときは、評議員会の議決を経なければならない事項で臨時急施を要するものを処分することができる(2項)。
□理事長は、前項の規定による処置については、次の評議員会においてこれを報告し、その承認を求めなければならない(3項)。
□評議員会は、監事に対し、連合会の業務に関する監査を求め、その結果の報告を請求することができる(4項)。
|
◆役員 (法157条)
□理事及び監事は、評議員において互選する。ただし、特別の事情があるときは、評議員以外の者のうちから評議員会で選任することを妨げない(2項)。
□理事のうち1人を理事長とし、理事において互選する(3項)。
□役員の任期は、2年とする。ただし、補欠の役員の任期は、前任者の残任期間とする(4項)。
□役員は、その任期が満了しても、後任の役員が就任するまでの間は、なお、その職務を行なう(5項)。
□監事は、理事又は連合会の職員と兼ねることができない(6項)。
|
◆役員の職務等 (法158条)
-----------------(230ページ目ここから)------------------
□連合会の業務は、規約に別段の定めのある場合を除くほか、理事の過半数により決し、可否同数のときは、理事長の決するところによる(2項)。
□理事は、理事長の定めるところにより、理事長を補佐して、年金給付等積立金の管理及び運用に関する連合会の業務を執行することができる(3項)。
□監事は、連合会の業務を監査する(4項)。
□監事は、監査の結果に基づき、必要があると認めるときは、理事長又は評議員会に意見を提出することができる(5項)。
|
◆会員の資格 (法158条の5)
a) 基金
b) a)の者以外の者であって、確定給付企業年金(確定給付企業年金法に規定する確定給付企業年金をいう)その他政令で定める年金制度を実施するものとして規約で定めるもの
|
3 連合会の行う業務 (法159条ほか) 重要度 ●
◆連合会の業務 (法159条)
□連合会は、前項に規定する業務のほか、残余財産の交付を受け、解散基金加入員について、死亡又は障害を支給理由とする年金たる給付又は一時金たる給付を行うことができる(2項)。
□連合会は、第165条第1項(連合会から基金への権利義務の移転)、第165条の2第1項(連合会から確定給付企業年金への年金給付等積立金の移換)又は第165条の3第1項(連合会から確定拠出年金への年金給付等積立金の移換)の規定による申出に基づき、基金、確定給付企業年金の資産管理運用機関等(確定給付企業年金法に規定する資産管理運用機関等をいう)又は企業型年金の資産管理機関若しくは国民年金基金連合会に年金給付等積立金を移換することができる(3項)。
□連合会は、次の事業を行うことができる。ただし、a)に掲げる事業を行う場合には、厚生労働大臣の認可を受けなければならない(4項)。
-----------------(231ページ目ここから)------------------
a) 解散基金加入員に支給する老齢年金給付につき一定額が確保されるよう、基金の拠出金等を原資として、老齢年金給付の額を付加する事業
b) 会員の行う事業の健全な発展を図るために必要な事業であって政令で定めるもの
□連合会は、基金の加入員及び加入員であった者並びに年金制度の加入者及び加入者であった者の福祉を増進するため、必要な施設をすることができる(5項)。
□連合会は、第130条第5項(基金の業務)の規定による委託を受けて、基金の業務の一部を行うことができる(6項)。
□連合会は、その業務の一部を、政令で定めるところにより、信託会社、信託業務を営む金融機関、生命保険会社、農業協同組合連合会その他の法人に委託することができる(7項)。
|
◆年金たる給付及び一時金たる給付に要する費用に関する契約 (法159条の2)
□連合会は、前項に規定する投資一任契約を締結する場合においては、当該投資一任契約に係る年金給付等積立金について、政令の定めるところにより、信託会社又は信託業務を営む金融機関と運用方法を特定する信託の契約を締結しなければならない(2項)。
□信託会社、信託業務を営む金融機関、生命保険会社、農業協同組合連合会又は金融商品取引業者は、正当な理由がある場合を除き、前2項に規定する契約の締結を拒絶してはならない(3項)。
|
◆中途脱退者に係る措置 (法160条)
1) 基金は、政令で定めるところにより、連合会に申し出て、中途脱退者の当該基金の加入員であった期間に係る老齢年金給付の支給に関する義務を移転することができる。(平5択)(平8択)(平12択)(平14択)
2) 連合会は、前項の規定により義務の移転の申出があったときは、これを拒
絶してはならない。(平12択)
3) 第1項の規定により義務の移転を行なう場合には、基金は、連合会に対し
、当該中途脱退者の加入員であった期間に係る老齢年金給付の現価に相当する金額(以下「現価相当額」という)を交付しなければならない。(平14択)
4) 前項の規定により交付すべき現価相当額の計算については、政令で定める。
-----------------(232ページ目ここから)------------------
5) 連合会は、第3項の規定により現価相当額の交付を受けたときは、当該老齢年金給付の支給に関する義務を承継するものとする。
6) 連合会は、前項の規定により中途脱退者に係る老齢年金給付の支給に関する義務を承継したときは、その旨を当該中途脱退者に通知しなければならない。
7) 連合会は、中途脱退者の所在が明らかでないため前項の通知をすることができないときは、同項の通知に代えて、その通知すべき事項を公告しなければならない。
◆解散基金加入員に係る措置 (法161条)
□解散基金加入員が老齢厚生年金の受給権を取得したとき又は基金が解散した日において当該基金に係る解散基金加入員が老齢厚生年金の受給権を有していたときは、連合会は、当該解散基金加入員に老齢年金給付を支給するものとする(2項)。
|
◆裁定 (法163条)
|
◆第1号改定者等の標準報酬の改定に伴う老齢年金給付の支給に関する権利義務の変更 (法163条の4)
□連合会は、前項の規定により老齢年金給付の支給に関する義務の一部を免れるときは、その旨を第1号改定者又は特定被保険者に通知しなければならない(2項)。
□連合会は、第1号改定者又は特定被保険者の所在が明らかでないため前項の通知をすることができないときは、当該通知すべき事項を公告しなければならない(3項)。
|
-----------------(233ページ目ここから)------------------
4 連合会の移換業務 (法165条ほか) 重要度 ●
◆連合会から「基金」への権利義務の移転及び年金給付等積立金の移換 (法165条)
□連合会は、前項の規定により権利義務の移転の申出があったときは、当該基金に当該老齢年金給付の支給に関する権利義務の移転を申し出るものとする(2項)。
□当該基金は、前項の規定により権利義務の移転の申出があったときは、当該老齢年金給付の支給に関する権利義務を承継するものとする(3項)。
□前項の規定により当該基金が当該老齢年金給付の支給に関する権利義務を承継する場合においては、連合会から当該基金に年金給付等積立金(当該老齢年金給付に充てるべき積立金に限る)を移換するものとする(4項)。
□第1項の申出を行う中途脱退者等は、連合会及び当該基金の規約において、あらかじめ、連合会から当該基金に連合会の規約で定める年金給付等積立金(老齢年金給付に充てるべき積立金を除く)の移換ができる旨が定められている場合においては、当該申出に併せて、連合会に当該年金給付等積立金の移換を申し出ることができる(5項)。
□連合会は、前項の規定により年金給付等積立金の移換の申出があったときは、当該基金に当該申出に係る年金給付等積立金を移換するものとする(6項)。
□当該基金は、前項の規定により年金給付等積立金の移換を受けたときは、当該移換金を原資として、規約で定めるところにより、当該中途脱退者等に対し、老齢年金給付等の支給を行うものとする(7項)。
□連合会は、第6項の規定により年金給付等積立金を移換したときは、当該中途脱退者等に係る老齢年金給付(加算された額に相当する部分に限る)又は死亡一時金その他の一時金たる給付の支給に関する義務を免れる(8項)。
□当該基金は、第3項の規定により当該老齢年金給付の支給に関する権利義務を承継したとき、又は第7項の規定により老齢年金給付等の支給を行うこととなったときは、その旨を当該中途脱退者等に通知しなければならない(9項)。
|
□*1 「中途脱退者等」とは、連合会が給付の支給に関する義務を負っている中途脱退者及び解散基金加入員をいう。
-----------------(234ページ目ここから)------------------
◆連合会から「確定給付企業年金」への年金給付等積立金の移換 (法165条の2)
□連合会は、前項の規定により年金給付等積立金の移換の申出があったときは、当該確定給付企業年金の資産管理運用機関等に当該申出に係る年金給付等積立金を移換するものとする(2項)。
□当該確定給付企業年金の事業主等は、前項の規定により当該確定給付企業年金の資産管理運用機関等が年金給付等積立金の移換を受けたときは、当該移換金を原資として、規約で定めるところにより、当該中途脱退者等に対し、確定給付企業年金法に掲げる給付の支給を行うものとする(3項)。
*「確定給付企業年金法に掲げる給付」とは、法定給付としての老齢給付金及び脱退一時金と、任意給付としての障害給付金及び遺族給付金をいう。
□連合会は、第2項の規定により年金給付等積立金を移換したときは、当該中途脱退者等に係る老齢年金給付又は死亡一時金その他の一時金たる給付の支給に関する義務を免れる(4項)。
□当該確定給付企業年金の事業主等は、第3項の規定により給付の支給を行うこととなったときは、その旨を当該中途脱退者等に通知しなければならない(5項)。
|
◆連合会から「確定拠出年金」への年金給付等積立金の移換 (法165条の3)
□連合会は、前項の規定により年金給付等積立金の移換の申出があったときは、当該企業型年金の資産管理機関又は国民年金基金連合会に当該申出に係る年金給付等積立金を移換するものとする(2項)。
□連合会は、前項の規定により年金給付等積立金を移換したときは、当該中途脱退者等に係る老齢年金給付又は死亡一時金その他の一時金たる給付の支給に関する義務を免れる(3項)。 -----------------(235ページ目ここから)------------------
□当該企業型年金の企業型記録関連運営管理機関等又は国民年金基金連合会は、第2項の規定により年金給付等積立金が当該企業型年金の資産管理機関又は国民年金基金連合会に移換されたときは、その旨を当該中途脱退者等に通知しなければならない(4項)。
|
5 連合会の解散 (法166条ほか) 重要度 ●
◆解散 (法166条)
a) 評議員の定数の4分の3以上の多数による評議員会の議決
b) 厚生労働大臣による解散の命令
↓ なお…
□a)の規定により解散したときは、理事が、その清算人となる。ただし、評議員会において他人を選任したときは、この限りでない(法168条1項)。
□b)の規定により解散したときは、厚生労働大臣が清算人を選任する(法168条2項)。
□連合会は、a)に掲げる理由により解散しようとするときは、厚生労働大臣の認可を受けなければならない(2項)。
|
◆連合会の解散による年金たる給付等の支給に関する義務等の消滅 (法167条)
|
-----------------(236ページ目ここから)------------------
1 雑則 (法169条ほか) 重要度 ●
◆不服申立て (法169条)
|
◆時効 (法170条)
□年金たる給付を受ける権利の時効は、当該年金がその全額につき支給を停止されている間は、進行しない(2項)。
□掛金その他この章の規定による徴収金の納入の告知又は保険料等の督促は、民法第153条の規定にかかわらず、時効中断の効力を有する(3項)。
|
◆戸籍事項の無料証明 (法172条)
|
◆書類等の提出 (法173条)
|
◆情報の提供 (法173条の2)
|
-----------------(237ページ目ここから)------------------
◆報告の徴収等 (法178条1項)
|
◆指定基金による健全化計画の作成 (法178条の2)
□前項の承認を受けた指定基金は、当該承認に係る健全化計画に従い、その事業を行わなければならない(2項)。
□厚生労働大臣は、第1項の承認を受けた指定基金の事業及び年金給付等積立金の状況により、その健全化計画を変更する必要があると認めるときは、当該指定基金に対し、期限を定めて、当該健全化計画の変更を求めることができる(3項)。
|
□*1 「政令で定める指定基金の要件」は、連続する3事業年度中の各事業年度の末日における年金給付等積立金の額が、責任準備金相当額に10分の9を乗じて得た額を下回っていることとする(基金令55条の5第2項)。(平17択)
◆基金等に対する監督 (法179条)
□厚生労働大臣は、基金又は連合会の事業の健全な運営を確保するため必要があると認めるときは、期間を定めて、当該基金又は連合会に対し、その規約の変更を命ずることができる(2項)。
□基金若しくは連合会若しくはその役員が第1項の命令に違反したとき、又は基金若しくは連合会が前項の命令に違反したときは、厚生労働大臣は、当該基金又は連合会に対し、期間を定めて、当該違反に係る役員の全部又は一部の改任を命ずることができる(3項)。 -----------------(238ページ目ここから)------------------
□基金又は連合会が前項の命令に違反したときは、厚生労働大臣は、同項の命令に係る役員を改任することができる(4項)。
□厚生労働大臣は、基金が次のいずれかに該当するときは、当該基金の解散を命ずることができる(5項)。
a) 第1項の規定による命令に違反したとき
b) 前条第2項の規定に違反したとき
c) 前条第3項の求めに応じないとき
d) その事業の状況によりその事業の継続が困難であると認めるとき
□連合会が第1項の規定による命令に違反したとき、又はその事業の状況によりその事業の継続が困難であると認めるときは、厚生労働大臣は、連合会の解散を命ずることができる(6項)。(平13択)
|
2 罰則 (法182条~188条) 重要度 ●
◆6月以下の懲役又は50万円以下の罰金 (法182条、法183条)
a) 第129条第4項(加入員の標準給与)の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
b) 第129条第6項(標準給与の通知)の規定に違反して、通知をしないとき。
c) 第139条第4項(掛金の納付)の規定に違反して、督促状に指定する期限までに掛金を納付しないとき。
|
□設立事業所以外の適用事業所の事業主が、正当な理由がなくて次のいずれかに該当するとき。
a) 第129条第7項(加入員の標準給与)の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
b) 第140条第6項(徴収金)の規定に違反して、督促状に指定する期限までに徴収金を納付しないとき。
|
□解散した基金が、正当な理由がなくて、第161条第1項(解散基金加入員に係る措置)の規定により負担すべき徴収金を督促状に指定する期限までに納付しないとき。
|
-----------------(239ページ目ここから)------------------
□次のいずれかに該当する者。
a) 第178条(報告の徴収等)又は第148条第1項(清算に係る報告の徴収等)の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又はこれらの規定による当該職員の質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の陳述をし、若しくはこれらの規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者。
b) 第129条第5項(基金が行う標準給与の通知)の規定に違反して、同項の規定による通知をしなかった者。
|
◆両罰規定 (法184条)
|
◆20万円以下の過料 (法185条、法186条)
a) 第115条第3項(規約の変更)の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
b) 第148条第3項(清算事務についての違反の是正等のための措置)の規定による命令に違反したとき。
c) 第177条(報告書の提出)の規定に違反して、報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。
d) 第179条第1項(基金等に対する監督)の規定による命令に違反したとき。
e) この章の規定により基金又は連合会が行なうものとされた事業以外の事業を行なったとき。
|
□基金又は連合会が、次の一に該当する場合には、その役員を処する。
a) 第116条(公告)の規定に違反して、公告を怠り、又は虚偽の公告をしたとき。
b) 第133条の3第2項(第1号改定者又は特定被保険者への通知)、第160条第6項、第160条の2第5項(中途脱退者への通知)又は第161条第7項(解散基金加入員への通知)の規定に違反して、通知をしないとき。
c) 第133条の3第3項(基金が行う第1号改定者又は特定被保険者の所在不明の通知)又は第160条第7項(連合会が行う第1号改定者又は特定被保険者の所在不明の通知)の規定に違反して、公告を怠り、又は虚偽の公告をしたとき。
d) 第176条(届出)の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
|
-----------------(240ページ目ここから)------------------
◆10万円以下の過料 (法187条、法188条)
b) 設立事業所の事業主が、第98条第1項(その他の届出等)の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をしたとき。
c) 加入員が、第98条第2項(厚生労働大臣への届出又は事業主への申出)の規定に違反して、届出をせず、若しくは虚偽の届出をし、又は申出をせず、若しくは虚偽の申出をしたとき。
d) 戸籍法の規定による死亡の届出義務者が、第98条第4項(死亡の届出)の規定に違反して、届出をしないとき。
e) 第109条第2項又は第151条第2項(名称)の規定に違反して、厚生年金基金という名称又は企業年金連合会という名称を用いた者であるとき。
|