(2010年度版)社労士初級インプット講座/国民年金法6-17

社労士試験合格を目指す方に無料でテキストを公開します!「国民年金法6-17:保険料の前納・追納[改正]」

前のページへ |  次のページへ | 目次へ 

国民年金法(6)-17

山川靖樹の社労士(社会保険労務士試験対策)講義風景

---- 山川予備校事務局 よりお知らせ ----

テキスト内容は、2010年度社労士試験対策の社労士初級インプット講座(2010年度版)のテキストになります。2012年度版(新年度版)テキストは、「山川靖樹の社労士予備校」HPトップにて紹介しておりますので、ご確認ください。

テキスト本文の開始

 

6  保険料の前納 (法93条)                          重要度●● 


条文


1) 被保険者は、将来の一定期間*1の保険料(付加保険料を含む)を前納することができる。(平2択)

 

2) 前納すべき額*2は、当該期間の各月の保険料の額から政令で定める額を控除した額とする。

 

3) 前納された保険料について保険料納付済期間又は保険料4分の3免除期間、保険料半額免除期間若しくは保険料4分の1免除期間を計算する場合においては、前納に係る期間の各月が経過した際に、それぞれその月の保険料が納付されたものとみなす。(平2択)(平5択)

-----------------(149ページ目ここから)------------------

ここをチェック

□*1 「保険料の前納期間」は、厚生労働大臣が定める期間につき、「6月又は年」を単位として行うものとする。

 

↓ ただし…

 

厚生労働大臣が定める期間のすべての保険料(既に前納されたものを除く)をまとめて前納する場合においては、「6月又は年」を単位として行うことを要しない(令7条)。(平21択)

 

□*2 「前納の際の控除額」は、前納に係る期間の各月の保険料の合計額から、その期間の各月の保険料の額を「年4分」の利率による複利現価法によって前納に係る期間の最初の月から当該各月までのそれぞれの期間に応じて割り引いた額の合計額(この額に10円未満の端数がある場合において、その端数金額が5円未満であるときは、これを切り捨て、5円以上であるときは、これを10円として計算する)を控除した額とする(令8条1項)。
(平9択)(平11択)(平14択)(平18択)(平21択)

 

↓ なお…

 

厚生労働大臣は、前納に係る期間の各月の保険料の額から前項に規定する額を控除した額(保険料を前納する場合に納付すべき額)を告示するものとする(2項)。

 

advance


◆前納保険料の充当及び還付

 


【充当】保険料が前納された後、前納に係る期間の経過前において保険料の額の引上げが行われることとなった場合においては、前納された保険料のうち当該保険料の額の引上げが行われることとなった後の期間に係るものは、当該期間の各月につき納付すべきこととなる保険料に、先に到来する月の分から順次充当するものとする(令8条の2)。(平3択)

 

 

【還付】保険料を前納した後、前納に係る期間の経過前において被保険者がその資格を喪失した場合又は第1号被保険者が第2号被保険者若しくは第3号被保険者となった場合においては、その者(死亡に至った場合においては、その者の相続人)の請求に基づき、前納した保険料のうち未経過期間に係るものを還付する(令9条1項)。(平11択)(平16択)(平21択)

 

□未経過期間に係る還付額は、被保険者の資格を喪失した時又は第1号被保険者が第2号被保険者若しくは第3号被保険者となった時において当該未経過期間につき保険料を前納するものとした場合におけるその前納すべき額に相当する額とする(2項)。

 

-----------------(150ページ目ここから)------------------

7  保険料の追納 (法94条)                          重要度●●●

 

条文

 

改正


1) 被保険者又は被保険者であった者(老齢基礎年金の受給権者を除く*1)は、厚生労働大臣の承認を受け、法定免除、申請全額免除、学生の保険料の納付特例又は30歳未満の保険料納付猶予制度の規定により納付することを要しないものとされた保険料及び申請一部免除の規定によりその一部の額につき納付することを要しないものとされた保険料(承認の日の属する月前10年以内の期間に係るものに限る)の全部又は一部につき追納をすることができる。
(平2択)(平3択)(平4択)(平5択)(平6択)(平8択)(平9択)
(平10択)(平11択)(平12択)(平14択)(平18択)(平20択)(平7記)

ただし、申請一部免除の規定によりその一部の額につき納付することを要しないものとされた保険料については、その残余の額につき納付されたときに限る。

 

ここをチェック

 

□*1 「老齢基礎年金の受給権者」には、「支給繰上げ」又は「繰下げの申出」の受給権者も含まれるから、いずれの者も追納をすることはできない。
(平6択)(平15択)(平21択)

 

↓ なお…

 

□障害基礎年金及び遺族基礎年金の受給権者は、追納をすることができる。
(平20択)

 


条文


2) 保険料の一部につき追納をするときは、「学生の保険料の納付特例又は30歳未満の保険料納付猶予制度」の規定により納付することを要しないものとされた保険料につき行い、次いで「法定免除若しくは申請全額免除又は申請一部免除」の規定に係る保険料につき行うものとし、これらの保険料のうちにあっては、「先に経過した月の分」から順次に行うものとする。(平1択)(平2択)(平15択) ただし、「学生の保険料の納付特例又は30歳未満の保険料納付猶予制度」の規定により納付することを要しないものとされた保険料より前に納付義務が生じ、「法定免除若しくは申請全額免除又は申請一部免除」の規定に係る保険料があるときは、当該保険料について、先に経過した月の分の保険料から追納をすることができるものとする。(平18択)(平19択)

 

-----------------(151ページ目ここから)------------------

 

ここで具体例!

 

◆追納の優先順位

 

 

□原則として、将来の老齢基礎年金額の計算の基礎とならないa)、b)の期間について優先的に追納したほうが、被保険者にとっては、より有利な取扱いである。

 

↓ しかし…

 

追納できなくなる期間のほうから先行して追納したほうが保険料徴収上は有利であり、後続期間は、次の機会に追納させることであっても特に問題はない。

 

↓ そこで…

 

□先に経過する月の分c)→a)→b)の順で追納をすることが可能とされている。

 


条文


3) 追納すべき額*2は、当該追納に係る期間の各月の保険料の額に政令で定める額を加算した額とする。(平1択)(平6択)(平18択)(平19択)(平8記)

 

4) 追納が行われたときは、追納が行われた日に、追納に係る月の保険料が納付されたものとみなす。(平6択)(平11択)


ここをチェック

□*2 「追納すべき額」は、当該追納に係る期間の「各月の保険料の額」に次の額を加算した額である(令10条)。

 


□免除月の属する年度に係る保険料を追納する場合において、当該免除月に係る保険料の額にそれぞれ政令で定める率を乗じて得た額(この額に10円未満の端数がある場合は、その端数金額が5円未満であるときは、これを切り捨て、5円以上であるときは、これを10円として計算する)とする。

 

↓ ただし…

 

□免除月の属する年度の「初日から3年以内」に追納をする場合は加算されない。

 

 

 

↓ なお…

 

□免除月が平成20年3月であって、平成22年4月に追納する場合は、加算されない。

 

↓ また…

 

□厚生労働大臣は、追納に係る期間の各月の保険料の額に前項に規定する額を加算した額(保険料を追納する場合に納付すべき額)を告示するものとする(2項)。(平8記)

 

 

-----------------(152ページ目ここから)------------------

8  徴収 (法95条)                                  重要度●   


条文


保険料その他この法律(国民年金基金及び国民年金基金連合会に係るものを除く)の規定による徴収金は、この法律に別段の規定があるものを除くほか、国税徴収の例によって徴収する。

 

 

9 督促及び滞納処分 (法96条)       重要度●●●

 

条文

 

改正


1) 保険料その他この法律の規定による徴収金を滞納する者があるときは、厚生労働大臣は、期限を指定して、これを督促することができる。

 

2) 前項の規定によって督促をしようとするときは、厚生労働大臣は、納付義務者に対して、督促状を発する。

 

3) 督促状により指定する期限は、督促状を発する日から起算して「10日以上」を経過した日でなければならない。
(平1択)(平4択)(平10択)(平11択)(平12択)(平14択)(平18択)

 

4) 厚生労働大臣は、第1項の規定による督促を受けた者がその指定の期限までに保険料その他この法律の規定による徴収金を納付しないときは、国税滞納処分の例によってこれを処分し、又は滞納者の居住地若しくはその者の財産所在地の市町村に対して、その処分を請求することができる。(平1択)(平4択)(平13択)(平16択)

 

5) 市町村は、前項の規定による処分の請求を受けたときは、市町村税の例によってこれを処分することができる。この場合においては、厚生労働大臣は、徴収金の100分の4に相当する額を当該市町村に交付しなければならない。(平15択)

 

6) 前2項の規定による処分によって受け入れた金額を保険料に充当する場合においては、さきに経過した月の保険料から順次これに充当し、1箇月の保険料の額に満たない端数は、納付義務者に交付するものとする。(平2択)(平4択)

-----------------(153ページ目ここから)------------------

advance


◆督促の効果

 


イ) “滞納処分”を行う際の前提となる。

 

↓ なお…

 

「滞納処分」とは、労働保険料等の滞納がある場合に、滞納者の財産を差し押え、当該財産を換価し、その代金を滞納金に充てる行政処分をいう。

 

ロ) “延滞金”を徴収する際の前提となる。

 

ハ) “時効”の中断効を有する。(平2択)(平4択)(平20択)

 

 

10  延滞金 (法97条)                              重要度●● 


条文

 

改正


1) 前条第1項の規定によって督促をしたときは、厚生労働大臣は、徴収金額につき年14.6%(当該督促が保険料に係るものであるときは当該納期限の翌日から「3月」を経過する日までの期間については、年7.3%(当分の間軽減措置あり*1))の割合で、納期限の翌日から徴収金完納又は財産差押の日の前日までの日数によって計算した延滞金を徴収する。(平1択)(平11択)(平12択)

 

ここをチェック


□延滞金の計算について、留意点は、次のとおりとなる。

 


イ) 次のいずれかに該当する場合(1項ただし書き、4項)

 

a) 徴収金額が500円未満であるとき

 

b) 滞納につきやむを得ない事情があると認められるとき

 

c) 督促状に指定した期限までに徴収金を完納したとき

 

d) 延滞金の額が50円未満であるとき(平17択)

 

 

 

 

 

 

 

徴収しない

 

ロ) 徴収金額の一部につき納付があったときの、その納付の日以後の期間に係る延滞金の計算の基礎となる徴収金の額(2項)

 

 

その納付のあった徴収金額を控除した金額を算定の基礎とする

 

ハ) 徴収金額に500円未満の端数があるとき(3項)
(平2択)(平6択)

 

 

その端数は、切り捨てる

 

ニ) 延滞金の金額に50円未満の端数があるとき(5項)
(平2択)(平6択)

 

 

その端数は、切り捨てる

 

-----------------(154ページ目ここから)------------------

□*1 「年7.3%」は、当分の間、各年の特例基準割合(各年の前年11月30日を経過するときの商業手形の基準割引率に年4%の割合を加算した割合)が年7.3%に満たないときは、その年中においては、当該特例基準割合とする(法附則9条の2の5)。

 

 

11  先取特権 (法98条)                            重要度●    


条文


保険料その他この法律の規定による徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。(平2択)