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(2)「故意」の場合の可否基準
自己の故意 |
a) 自ら結果の発生を意図した故意による災害は、原則としてNG
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他人の故意 |
加害行為が明らかに業務と関連しており、加害者の私怨ないし加害者との私的関係に起因しているものでない場合には、それぞれの具体的事情を考慮することによりOK(災害の原因が業務にあって、業務と災害との間に因果関係が認められる場合)
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(1) 作業中(認められた事例)
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(2) 合理的行為中
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a) 合理性又は必要性を有する行為である場合。
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認められた事例 |
認められなかった事例
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当日午前8時、本人は製材作業を開始しようとして電動機の「スイッチ」を入れたところ、モーターが回転しない上トランスから音がしているので、修理しようとして工場敷地内にある電柱に登ったところ、前日からの雨のため、3つ目の「ダルマスイッチ」を抜こうとしたとき感電してコウ(材木の切れ端)の上に転落し1時間後に死亡したものである。なお、本人は元U木工に働いていたときにも電気設備の修理に当たっていた経験がある (昭23.12.17基災発243号)。 |
N通運(株)O支店車両整備事務員Kは、当日、貨物自動車の車体検査受検のため自ら同車を運転して車体検査場に赴いたところ、車体検査場では、昼の休憩時を利用して、スト一ブの煙突取外し作業を車体検査官3名で行っていたが、作業に難渋している様子が見受けられたので、Kは事務所の南側約2メートルの箇所にある木に登り、煙突を固定している部分をゆるめる作業を手伝った。取外しを終わり、Kは木から下りようとしたところ枝が折れたため転落、負傷し死亡したものである(昭32.9.17基収4722号)。 (平7択)
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(3) 作業の中断中(認められた事例)
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(4) 休憩中(認められた事例)
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(5) 施設利用中(認められた事例)
b) 労働者の利用に供せられる更衣所、便所、洗面所、食堂、風呂場、休憩所、娯楽室、運動設備、通勤専用バスその他の福利施設、医療・看護施設又は事業附属寄宿舎 etc.
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Fタクシー会社において、当直運転手が、石油ストーブを事務所から仮眠室へ運ぶ途中、ストーブの下部が外れたため、こぼれた油に引火し同営業所は全焼し、その際2階に住み込んでいた同所の管理責任者Aと雑役婦の妻Bが焼死した。発生現場付近にボール箱及び自動車専用モービルオイルが置いてあったこと並びに居合わせた労働者が消火器の操作方法を知らなかったことが大事に至らせたものである(昭41.5.23基収3520号)。(平7択)
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(6) 出張中(認められた事例)
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(7) 通勤途上(認められた事例)
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↓ 反対に…
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(8) 天災地変(認められた事例)
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山頂100メートル下方において植生盤の植付作業の指揮監督をしていたH工業(株)の現場監督員Oは、夕立のような異様な天候になったので、作業を中止させ、山頂の休憩小屋に退避しようとして同小屋より約15メートル近くまで来たとき、落雷の直撃をうけ、電撃死した。当地区は、A測候所の調査によると、地理的条件よりみても山岳地帯であって天候の変化もはげしく、雷の発生頻度が高い。さらに、A銅山の煙害により、草木としては、イタドリ(高さ6Oセンチ位の草)位しか生茂しておらず、ほとんど禿山ばかりであって、今回の事故も、このため退避するに適当な場所がなかったことから直撃をうけたものとみられる(昭36.3.13基収1844号)。(平7択)
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(9) 他人の故意(認められた事例)
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(10) その他の事由(認められなかった事例)
H酪農協同(株)皮革工場従業員Uは、昼食事の休憩時間に構内で同僚労働者とキャッチボールをしているとき、突然左上膊(ひじ)外側面に疼痛を感じたので、直ちに被服を脱いで調べたところ、左上膊面に穴があき出血して銃丸の盲貫しているのを知った(昭24.5.31基収1410号)。 (平5択)
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