社労士/労働基準法6-12 | 初級INPUT講座2011年度向けテキスト

社労士合格を目指す受験生を応援!2011年度向けテキストを完全公開!「労働基準法6-12:不利益取扱vs年休権の行使」

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労働基準法(6)-12

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判例チェック

 

◇不利益取扱vs年休権の行使◇

 

□タクシー会社において、月ごとの勤務割(乗車勤務シフト表)の作成後に年休を取得した場合には「皆勤手当を支給しない」旨の就業規則の妥当性

 

↓ 争点は…

 

使用者は、年次休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならないと定める「法附則136条」の効力

 

↓ 判旨において

 


a) その取得制限に対する規則上の趣旨及び目的の適切さ

 

b) 労働者が失う経済的利益の程度(「皆勤手当」不支給に対する不利益の大きさ)

 

c) 年休取得に対する事実上の抑止力の強弱(その制度の存在による年休が取りづらい環境)等の諸般事情を総合して判断すべき

 

↓ 本件の場合…

 

□本条は使用者の努力義務規定(訓示的規定)であって、年休取得を理由とする不利益取扱いの私法上の効果を否定するまでの効力はないと判断された。

 

 

↓ したがって…

 

年休を取得する権利の行使を抑制し、これらの権利を保障した趣旨を実質的に失わせるものと認められない限り公序に反するとはいえず、就業規則における当該規定が無効となるものではない(沼津交通事件・最高裁第2小平5.6.25)。