社労士/労働基準法5-8 | 初級INPUT講座2011年度向けテキスト

社労士合格を目指す受験生を応援!2011年度向けテキストを完全公開!「労働基準法5-8:みなし労働時間制」

前のページへ | 次のページへ  | 目次へ 

労働基準法(5)-8

---- 山川予備校事務局 よりお知らせ ----

山川靖樹先生の講義をご覧になる場合は会員登録が必要になります。「山川靖樹の社労士予備校」HPトップから登録画面に進んでください。

テキスト本文の開始

 

2  みなし労働時間制-1 (概論)                          重要度 ●● 

 

outline

 

□そもそも労働基準法においては… Yes


 

労働時間制にとらわれることなく職務遂行能力仕事の成果を発揮できる時間管理システムを認める必要性がある(「みなし労働時間制」の基本理念)

 

↓ そこで…

 


a) 事業場外労働:一般的には、営業職等特定の職務を対象とする

 

b) 専門業務型裁量労働制:個人ごとの業務で、対象業務は厚生労働省令において定められる

 

c) 企画業務型裁量労働制:部署ごとの業務で、対象業務は労使間の合意によって決定される

 

 

↓ いずれの場合も…

 

□現実に労働した時間数がどうであれ、決められた時間数=労働した時間数とみなす制度であり、賃金額は「労働時間数」によって増減することがない。
*b)、c)については、労使間の合意により労働したものとみなす時間数を決定する。

 

ここをチェック

 

□みなし労働時間制に共通する留意事項は、次のとおりである(昭63.1.1基発1号、平12.1.1基発1号)。

 

-----------------(164ページ目ここから)------------------

 

イ) みなし労働時間制に関する規定が適用される場合であっても、休憩時間、休日、深夜業に関する規定の適用は排除されない

 

↓ したがって…

 

a) 使用者は労働時間の管理を行わなければならない

 

b) 休日労働・深夜労働をさせた場合には、それぞれに関する割増賃金を支払わなければならない(平9択) (平15択) (平16択) (平17択) (平19択)


 

ロ) みなし労働時間制に関する規定は、第4章の労働時間に関する規定の範囲に係る労働時間の算定について適用されるものであり、第5章(年少者)及び第6章(妊産婦等)の労働時間に関する規定に係る労働時間の算定については適用されない。

 

 

3  みなし労働時間制-2 (事業場外労働・法38条の2)     重要度 ●● 

 

条文

 

 

1) 労働者が労働時間の全部又は一部について事業場外で業務に従事した場合において、労働時間を算定し難いときは、所定労働時間労働したものとみなす*1。ただし、当該業務を遂行するためには通常所定労働時間を超えて労働することが必要となる場合においては、当該業務に関しては、厚生労働省令で定めるところにより、当該業務の遂行に通常必要とされる時間労働したものとみなす*2。

(平2択)(平3択)(平5択)(平18択)(平12選)

 

2) 前項ただし書の場合において、当該業務に関し、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定*3があるときは、その協定で定める時間を同項ただし書の当該業務の遂行に通常必要とされる時間とする。

(平18択)

 

 

 

outline

 

□原則:A社において、例えば「出張業務」の遂行は、通常、所定労働時間を超えない業務であると考えられているとする。

 

↓ この場合…

 

当該業務は、所定労働時間労働したものとみなす(1項本文)。

 

↓ ところが…

 

□例外:A社において、例えば「セールス業務」の遂行は、通常、所定労働時間を超える業務であると考えられているとする。

 

↓ この場合は…

 

特約により、通常必要とされる時間労働したものとみなす(1項但し書)。

 

↓ なお…

-----------------(165ページ目ここから)------------------

 

□原則の「所定労働時間」や例外の「通常必要とされる時間」は、あらかじめ、使用者が就業規則等に定めておくこととなるが…。

 

↓ あえて…

 

この労働時間数を労使間協議において取り決めた場合は、当該労使協定に定めた時間労働したものとみなす(2項)。

 

ここをチェック

 

(1) 所定労働時間労働したものとみなす(1項本文)

 

□*1「みなし労働時間」の適否は、次のとおりである(昭63.1.1基発1号)。

 


適用される

 

□労働時間の一部について事業場外で業務に従事し、事業場外における労働時間の算定が困難な場合には、その日は事業場内で業務に従事した時間を含めて、全体として所定労働時間労働したものとみなされる

 

 

□原則として、次に掲げる要件を満たす形態で行われるような在宅勤務(労働者が自宅で情報通信機器を用いて行う勤務形態をいう)(平20.7.28基発0728002号)

 

a) 当該業務が、起居寝食等私生活を営む自宅で行われること

 

b) 当該情報通信機器が、使用者の指示により常時通信可能な状態におくこととされていないこと

 

c) 当該業務が、随時使用者の具体的な指示に基づいて行われていないこと

 

 

適用されない

 

□事業場外で業務に従事する場合であっても、使用者の具体的な指揮監督が及んでいる場合(労働時間の算定が可能であるため

 

a) 事業場外労働に従事するメンバ一の中に労働時間を管理する者がいる場合

 

b) 無線等により随時使用者の指示を受けながら労働している場合

 

c) 事業場において、当日の業務の具体的指示を受けたのち、事業場外で指示通りに業務に従事し、その後事業場に戻る場合