社労士/労働基準法3-2 | 初級INPUT講座2011年度向けテキスト

社労士合格を目指す受験生を応援!2011年度向けテキストを完全公開!「労働基準法3-2:指定する金融機関に対する振込み」

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労働基準法(3)-2

---- 山川予備校事務局 よりお知らせ ----

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テキスト本文の開始

 

 

□*6 「指定する金融機関に対する振込み」については、次のとおりである(昭63.1.1基発1号)。

 


a)「指定」とは、労働者が賃金の振込み対象として銀行その他の金融機関に対する当該労働者本人名義の預貯金口座を指定するとの意味であって、この指定が行われれば特段の事情のない限り労働者の同意が得られているものと解される。

 

b)「振込み」とは、振り込まれた賃金の全額が所定の賃金支払日に払い出し得るように行われることを要する。

 

 

(2)「直接払の原則」*2について

 

ここをチェック

 


原則

 

賃金は、「直接」労働者に支払わなければならない

 

 

例外

 

イ) 通貨払の例外ハ)の場合(平5択) (平6択)

 

ロ) 使者*7に対して支払う場合

 

↓ なお…

 

□労働者の親権者その他の法定代理人に支払うこと、労働者の委任を受けた任意代理人に支払うことは、いずれも法24条違反となり、労働者が第三者に賃金受領権限を与えようとする委任、代理等の法律行為は無効である(昭63.3.14基発150号)

(平9択)(平20択)(平21択)

 

ハ) 国税徴収法又は民事執行法に基づいて差し押さえられた場合、法律の範囲内(賃金債権の1/4が限度とされる)で労働者以外の者に支払うことは禁止されていない

 

 

 

ちょっとアドバイス

 

□*7 派遣中の労働者の賃金を派遣先の使用者を通じて支払うことについては、派遣先の使用者が派遣中の労働者本人に対して、派遣元の使用者からの賃金を手渡すことだけであれば、直接払の原則には違反しない(昭61.6.6基発333号)。(平3択)

 

判例チェック

 

◇直接払の原則vs債権譲渡◇

 

□労働者が賃金の支払を受ける前に賃金債権を他に譲渡した場合においても、その支払についてはなお法24条が適用され、使用者は直接労働者に対し賃金を支払わなければならない。

 

↓ したがって…

 

賃金債権の譲受人は自ら使用者に対してその支払を求めることは許されない(小倉電話局事件・最高裁第3小昭43.3.12ほか)。

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(3)「全額払の原則」*3について

 

ここをチェック

 


原則

 

賃金は、その「全額」を支払わなければならない

 

 

例外

 

イ) 法令に別段の定めがある場合
(例)所得税の源泉徴収、社会保険料の控除etc.

 

ロ) 労使協定が締結されている場合 →届出不要

(平4択)(平17択)(平18択)(平20択)

(例)購買代金、社宅その他の福利厚生施設の利用料、社内預金、労働組合費etc.

 

↓ ちなみに…

 

「ノーワーク・ノーペイの原則」:労働者に欠勤、遅刻などがあった場合、それに応ずる時間相当の賃金分を支払わないことは、法24条違反とならない

 

 

ちょっとアドバイス

 

□使用者が、労働安全衛生法66条の5(健康診断実施後の措置)等の規定に基づいて労働者を労働させなかった場合において、労務の提供のなかった限度において賃金を支払わなくても、法24条違反ではない。(平15択)