社労士合格を目指す受験生を応援!2011年度向けテキストを完全公開!「労働基準法2-7:不当な身柄拘束の禁止」
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1 賠償予定の禁止 (法16条) 重要度 ●●
使用者は、労働契約の不履行について違約金*1を定め、又は損害賠償額を予定する*2契約をしてはならない*3。(平20択)
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□*1 「違約金」とは、債務不履行(労働契約に基づく労働義務を労働者が履行しない)の場合に、損害発生の有無にかかわらず、債務者(労働者)が債権者(使用者)に支払うべきものとして、あらかじめ定められた金銭である。
□*2 「損害賠償額を予定する」とは、損害発生の有無にかかわらず、賠償すべき一定の金額を予定することを禁止するものであって、現実に生じた損害について賠償請求をすることは、本条が禁止するところではない(昭22.9.13発基17号)。
(平4択)(平l0択)(平l2択)
□*3 「契約してはならない」とは、禁止すべき対象を労働契約に限定していないことから、親権者又は身元保証人が違約金等を負担する特約や、労働者の負担する違約金等を保障する契約等も禁止されることとなる。(平14択)
□本条違反は、違約金又はあらかじめ定めた損害賠償額を現実に徴収したときではなく、使用者が労働契約の不履行について違約金を定め、又は損害賠償額を予定する契約をしたときに成立する。
◇競業避止義務vs退職金債権◇
□労働者が就業規則に反して同業他社に就職した場合において、その支給すべき退職金につき、支給額を一般の自己都合による退職の場合の半額と定めることも、退職金が功労報償的な性格を併せ有することにかんがみれば、合理性のない措置であるとすることはできない。
↓ そして…
□この場合の退職金の定めは制限違反の就職をしたことにより勤務中の功労に対する評価が減殺されて、退職金の権利そのものが一般の自己都合による退職の場合の半額の限度においてしか発生しないこととする趣旨であり、法16条の規定にはなんら違反するものではない(三晃社事件・最高裁第2小昭52.8.9)。(平9択)
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使用者は、前借金*1その他労働することを条件とする前貸の賃権と賃金を相殺してはならない*2。(平9択)(平20択)(平11記)
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□*1 「前借金」とは、労働契約の締結の際またはその後に、労働する(つまり、将来の賃金により弁済する)ことを条件として使用者から借り入れた金銭のことである。
↓ したがって…
労働者が使用者から人的信用に基づいて受ける金融又は賃金の前払いのような単なる弁済期の繰上げ等で明らかに身分的拘束を伴わないと認められるものは、労働することを条件とする債権ではない(昭33.2.13基発90号)。
↓ 例えば…
□住宅建設資金の貸付けに対する返済金のように融資額及び返済額ともに相当高額に上り、その返済期間が相当長期間にわたるものであっても、貸付けの原因が真に労働者の便宜のためのものであり、また、労働者の申出に基づくものであること、貸付期間は必要を満たし得る範囲であり、貸付金額も1か月の賃金又は退職金等の充当によって生活を脅威し得ない程度に返済し得るものであること、返済前であっても退職の自由が制約されていないこと等、当該貸付金が身分的拘束を伴わないことが明らかなものは、本条に抵触しない。(平14択)
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□*2 「相殺してはならない」とは、前借金の貸付を禁じたものではなく、賃金と前借金を相殺することを禁止している。
↓ また…
□法24条の賃金一部控除協定が締結されている場合であっても、法17条の禁止する相殺をすることはできない。また、相殺の同意又は合意(相殺契約)によって相殺をすることも本条違反となる。
↓ なお…
□労働者からの相殺契約のような形式がとられていても、実質的にみて労働を強制していると認められるときは、法5条に違反する。
□本条における相殺禁止の規定は、相殺のうち、使用者の側で行う場合のみを禁止しているのであって、労働者が自己の意思による申し出によって前借金等と賃金を相殺することは禁止されていない。(平3択)