社労士/労働基準法2-5 | 初級INPUT講座2011年度向けテキスト

社労士合格を目指す受験生を応援!2011年度向けテキストを完全公開!「労働基準法2-5:労働条件の明示」

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労働基準法(2)-5

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テキスト本文の開始

 

6  労働条件の明示 (法15条1項)                       重要度 ●●●

 

条文

 

使用者は、労働契約の締結に際し*1、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項*2については、厚生労働省令で定める方法*3により明示しなければならない。

 

ここをチェック

 

□*1 労働条件を明示すべき時期は、労働契約の締結の際であり、当該契約を更新する場合を含むものとされている。(平10択)

 

↓ なお…

 

□労働者の募集時点においては、労働条件の明示は必要ない(ただし、職業安定法上の明示義務はある)。

 

□法15条は、労働条件が明確でないことによる労働者と使用者との紛争を防止することをその趣旨としており、労働契約の締結に際し、使用者が労働条件を明示しない場合であっても、労働契約自体は有効に成立する。ただし、使用者は法15条違反の罰則(30万円以下の罰金)に処せられる。

 

□派遣元の使用者は、労働者派遣法における労働基準法の適用に関する特例により自己が労働基準法に基づく義務を負わない労働時間、休憩、休日等を含めて、法15条の労働条件の明示をする義務を負う(昭61.6.6基発333号)。(平1択)

 

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□*2 「厚生労働省令で定める明示しなければならない事項」とは、次のとおりである(則5条1項)。(平16択)

 

 

絶対的明示事項
必ず明示しなければならない事項

 

 

相対的明示事項
定めがある場合には明示しなければならない事項

 

 

労働契約の期間に関する事項


就業の場所及び従事すべき業務に関する事項(平21択)

 

始業及び終業の時刻、所定労働時間を超える労働の有無、休憩時間、休日、休暇並びに労働者を2組以上に分けて交替に就業させる場合における就業時転換に関する事項

(平13択)(平18択)

 

賃金(退職手当及び臨時に支払われる賃金等を除く)の決定、計算及び支払の方法、賃金の締切り及び支払の時期並びに昇給に関する事項(平11択)

 

退職に関する事項(解雇の事由を含む)

 

 

□退職手当の定めが適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算及び支払の方法並びに退職手当の支払の時期に関する事項

 

□臨時に支払われる賃金(退職手当を除く)、賞与等及び最低賃金額に関する事項

 

□労働者に負担させるべき食費、作業用品その他に関する事項

 

□安全及び衛生に関する事項

 

□職業訓練に関する事項

 

□災害補償及び業務外の傷病扶助に関する事項

 

□表彰及び制裁に関する事項

 

□休職に関する事項(平14択)

 

 

□*3 「厚生労働省令で定める明示方法」とは、次のとおりである(則5条2項・3項)。

 

     絶対的明示事項

相対的明示事項

 

「昇給に関する事項」を除き、書面の交付により明示しなければならない(平4択)

(平5択)(平l5択)(平l8択)

 

 

口頭で明示すればよい(「昇給に関する事項」も口頭でよい)

 

 ↓ なお…

 

□書面で明示すべき労働条件については、当該労働者に適用する部分を明確にして就業規則を労働契約の締結の際に交付することとしても差し支えない(平11.1.29基発45号)。

(平11択)

 

 ↓ 具体的には…

 

□「労働契約の期間」:期間の定めのある労働契約の場合はその期間、期間の定めのない労働契約の場合はその旨を記載する必要がある(平11.1.29基発45号)。

 

□「就業の場所及び従事すべき業務」:雇入れ直後の就業の場所及び従事すべき業務を明示すればよい。なお、将来の就業場所や従事させる業務を併せて網羅的に明示することも差し支えない(平11.1.29基発45号)。

 

□「始業及び終業の時刻等」:労働者に適用される労働時間等に関する具体的な条件を明示しなければならない。なお、明示すべき事項の内容が膨大なものとなる場合には、労働者の利便性をも考慮し、所定労働時間を超える労働の有無以外の事項については、勤務の種類ごとの始業及び終業の時刻、休日等に関する考え方を示した上、当該労働者に適用される就業規則上の関係条項名を網羅的に示すことでよい(平11.1.29基発45号)。

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□「賃金の決定等」:就業規則等の規定と併せて、賃金に関する事項が当該労働者について確定し得るものであればよく、例えば、労働者の採用時に交付される辞令等であって、就業規則等に規定されている賃金等級が表示されたものでも差し支えないが、この場合は、その就業規則等を労働者に周知させる措置が必要である(平11.3.31基発168号)。

(平9択)(平15択)

 

□「退職」:退職の事由及び手続、解雇の事由等を明示しなければならない。なお、明示すべき事項の内容が膨大なものとなる場合においては、労働者の利便性をも考慮し、当該労働者に適用される就業規則上の関係条項名を網羅的に示すことでよい(平11.1.29基発45号)。(平12択)

 

ちょっとアドバイス

 

日々雇い入れられる者や期間を定めて使用される者であっても、労働条件のうち絶対的明示事項(昇給に関する事項を除く)については、書面の交付により明示しなければならない。(平9択) (平11択)

 

□労働基準法15条に基づいて明示すべき労働条件の範囲は、法1条(労働条件の原則)及び法2条(労働条件の決定)でいう労働条件の範囲とは異なる。(平16択)
(例)「福利厚生制度」や「寄宿舎」に関する事項は、労働者の職場における一切の待遇であるが、労働契約の締結時に明示すべき事項には含まれていない。