社労士/労働基準法1-8 | 初級INPUT講座2011年度向けテキスト

社労士合格を目指す受験生を応援!2011年度向けテキストを完全公開!「労働基準法1-8:男女同一賃金の原則」

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労働基準法(1)-8

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テキスト本文の開始

 

5 男女同一賃金の原則 (法4条)                        重要度 ●  

 

条文

 

 

使用者は、労働者が女性であることを理由として*1、賃金*2について、男性と差別的取扱い*3をしてはならない。(平20択)

 

 

 

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ここをチェック

 

□*1 「女性であることを理由として」とは、労働者が女性であることのみを理由とすること、あるいは、社会通念として又は当該事業場において女性労働者が一般的又は平均的に能率が悪いこと、勤続年数が短いこと、主たる生計の維持者でないこと等を理由とすることをいう。したがって、労働者の職務、能率、技能等によって、賃金に個人的差異のあることは、本条の差別的取扱いではない(平9.9.25基発648号)。

 

□*2 「賃金」については、限定的列挙であり、また、賃金の額そのものについて差別的取扱いをすることだけでなく、賃金体系、賃金形態等について差別的取扱いをすることも含まれる

 

□*3 「差別的取扱い」には、女性であることを理由として、賃金について有利な取扱い(いわゆる「逆差別」)をする場合も含まれる(平9.9.25基発648号)。

(例)労働者が結婚のため退職する場合、女性には男性に比べ2倍の退職手当を支給することが定められているとき等(その定めは労働基準法4条に反し無効であり、行政官庁は使用者にその変更を命ずることができる)。

(平5択)(平10択)(平12択)(平21択)

 

ちょっとアドバイス

 

□賃金以外の労働条件(採用、配置、昇進、教育訓練等)についての差別的取扱いは、本条違反とはならないが、男女雇用機会均等法において抵触する可能性がある。

 

□職務、能率、技能、年齢、勤続年数等が同一である場合において、男性はすべて月給制、女性はすべて日給制とし、男性は労働日数の如何にかかわらず月の賃金が一定額であるのに対し、女性は労働日数の多寡によって賃金が男性の一定額と異なる場合は、本条違反となる(平9.9.25基発648号)。

 

advance

 

□就業規則に労働者が女性であることを理由として、賃金について男性と差別的取扱いをする趣旨の規定があっても、現実に男女差別待遇の事実がない場合には、その規定そのものは無効となるが、本条違反とはされない(平9.9.25基発648号)。

 

6 強制労働の禁止 (法5条)                            重要度 ●  

 

条文

 

 

使用者は、暴行、脅迫、監禁その他精神又は身体の自由を不当*1に拘束する手段*2によって、労働者の意思に反して労働を強制*3してはならない。

(平1択)(平10択)(平20択)

 

 

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ここをチェック

 

□*1 「不当」とは、社会通念上是認し難い程度の手段の意であり、必ずしも不法なもののみに限られない。たとえ、合法的なものであっても不当なものとなることがある(昭63.3.14基発150号)。

 

□*2 「精神又は身体の自由を不当に拘束する手段」には、長期労働契約(法14条)、労働契約不履行に関する賠償額予定契約(法16条)、前借金相殺(法17条)、強制貯金 (法18条)等が該当する(昭63.3.14基発150号)。

 

□*3 「労働者の意思に反して労働を強制する」とは、必ずしも労働者が現実に「労働」することを必要としない。使用者が労働者の意思を抑圧して労働することを強要したものであれば、本条違反にあたる(昭23.3.2基発381号)。

 

advance

 

□本条違反については、労働基準法において最も厳罰(法117条・1年以上10年以下の懲役又は20万円以上300万円以下の罰金)に処せられる。(平21択)

 

□本条の適用については、労働を強制する使用者と強制される労働者との間に労働関係があることが前提となるが、必ずしも形式的な労働契約が成立していることを要求するものではなく、事実上労働関係が存在すると認められればよい。(平13択)