社労士/厚生年金保険法2-15 | 初級INPUT講座2011年度向けテキスト

社労士合格を目指す受験生を応援!2011年度向けテキストを完全公開!「厚生年金保険法2-15:総報酬制の導入に伴う給付乗率の読み替え」

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厚生年金保険法(2)-15

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テキスト本文の開始

 

 

(2) 総報酬制の導入に伴う給付乗率の読み替え (平12法附則20条1項)

 

□被保険者であった期間の全部又は一部が平成15年4月1日前であるときは、次のそれぞれの期間ごとに計算した額を合算した額となる。

 


イ)

 

平成15年4月1日前の被保険者であった期間に係る平均標準報酬月額*2

 

 

 

 

 

 

 

平成15年4月1日前の被保険者期間の月数

 

*「1,000分の7.125」は、昭和21年4月1日以前に生まれた者については、その者の生年月日に応じて、1,000分の9.5~1,000分の7.23と読み替える。

 

 

ロ)

 

平成15年4月1日以後の被保険者であった期間に係る平均標準報酬額

 

 

 

 

 

 

平成15年4月1日以後の被保険者期間の月数

 

 

*「1,000分の5.481」は、昭和21年4月1日以前に生まれた者については、その者の生年月日に応じて、1,000分の7.308~1,000分の5.562と読み替える。

 

 

□*2「平均標準報酬月額」とは、平成15年4月1日前の被保険者期間の各月の標準報酬月額に再評価率を乗じて得た額の総額を、平成15年4月1日前の被保険者期間の月数で除して得た額をいう(脱退一時金及び厚生年金基金を除く)。

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ちょっとアドバイス

 


平成15年4月からの「総報酬制」の導入(賞与を含めたすべての報酬から保険料を徴収する制度)により、標準賞与額を年金額の算定基礎額に算入することとなったため、標準報酬等の平均額と給付乗率に関し、制度導入の前後の期間について区別して計算することとされた。

 

↓ そこで…

 

a) 平成15年3月までの期間に適用される「7.125/1,000」と

 

b) 平成15年4月以降の期間に適用される「5.481/1,000」との関係は?

 

↓ そもそも…

 

「総報酬制」は導入されたが、年金額の給付水準の見直し(年金額の引上げや引下げ)が行われたわけではなかったため、年金額の算定基礎額が増加する分だけ給付乗率を引き下げることによる「給付水準の現状維持」の措置が必要となった。

 


例えば、標準報酬月額100賞与平均25が加算されて平均標準報酬額125とした場合
(導入前)算定基礎額100×給付乗率10=1,000のところ、
(導入後)算定基礎額125×給付乗率「8」=1,000とする調整措置が必要となった。

 

*報酬月額平均100(1)に対して賞与平均30(0.3)と試算され、7.125÷1.3=「5.481」と設定された。

 

 

↓ さらに…

 

改正前の年金額を保障するため、後述する「従前額保障」や「物価スライド特例措置」の制度が設けられている。これは、年金額計算に用いられる給付乗率の変更改定等によって既に受給を始めている者の急激な年金額の低下を防ぎ、また、支給開始時期によって受給額に大きな損得が生じないようにこれまで適用されていた給付乗率に基づいた支給額との比較の措置がとられている。